FPC基板について

Ally Japan㈱ 営業部 秋山です。


今回はFPC基板について一言…。

まずは、FPC基板っていったい何?と聞かれると、次のような回答になると思います。

FPC(Flexible Printed Circuits)は『フレキシブルプリント配線板』や

『フレキシブルプリント回路基板』や単純に『フレキ』と呼ばれ、

絶縁性を持った薄く柔らかいベースフィルム(ポリイミド等)に銅箔等の導電性金属を

貼り合わせた基材(CCL)に電気回路を形成した基板を指します。


このCCL(Copper Clad Laminate)は銅張積層板という意味で、

リジッド基板の材料も同じ呼び方ですが、

FPCの場合はFCCL(Flexible Copper Clad Lamination)と呼ばれる場合もありますが、

このFCCLには大別して3層材と2層材とがあります。


3層材はベースフィルム(ポリイミドなど)と銅箔をエポキシ系の接着剤で

貼り合わせたもので、2層材はベースフィルム(ポリイミドなど)に直接銅箔を

融着させたものです。
3層材は、2層材と比較してコストは安いのですが、接着剤にエポキシ系を使っている為、

ポリイミドとの熱収縮率の違いで、ピッチ精度が要求されるFPCには不向きですが、

2層材は、熱収縮率の違う接着剤を使用していな分、

ピッチ精度が要求されるFPCに向いております。


FPCは、フィルム状で非常に薄く、自由自在に曲げることができるため、

電子機器内でのわずかな隙間や立体的な配置、携帯電話のヒンジやHDDのアーム等、

繰り返して屈曲する可動部での使用に適しております。

そして、硬くてあまり曲がらない硬質基板(リジッド基板)と比べると、

薄く非常に軽量であることも大きな利点となり、現在ではスマートフォンや携帯電話、

液晶テレビなどあらゆる電子機器の小型軽量化・薄型化に欠かせないものとなっています。


FPCの歴史は意外に古く、もともとは1960年代に宇宙開発・航空・軍事などの用途に

使われたのが始まりだといわれています。
1970年代になり、小型化を要求される光学一眼レフカメラや薄型電卓など民生用途に

転用されようになり、急速に普及して今日に至っております。

FPC基板の構造から分類すると次のようになります。


【片面FPC】
ポリイミドフィルムの片面に銅箔を一層だけ持った標準的なFPCです。

片面銅箔にパタ-ンを形成し、その導体の上に、

絶縁層(カバーレイ、または、FPC用レジストインク)を設けたシンプルな構造のため、

FPCの「薄く柔らかい」という特徴を最も発揮できます。
その特徴である、自由な曲げと凹凸部への追従性に優れていることから、

組み込みスペースの有効利用に有利で、繰り返し屈曲に優れている為、

稼働部での省スペース配線が有利になっております。


【両面FPC】
両面銅張板(FCCL)に穴明け・スルーホールめっき後パタ-ン形成(表裏)し、

表裏に表面絶縁層(カバーレイ、または、FPC用レジストインク)を設けた構造です。
片面FPCに比べ複雑な配線が可能で、部品を表裏に搭載することもでき、

更にスペースの有効利用が可能になります。


【多層FPC】
多層FPCは、片面FPCや両面FPCを組み合わせボンディングシートで熱圧着した
FPCで、回路を多層化して、高機能かつ軽量小型化を実現しております。

様々な構造があり、パターン設計自由度が高いのが特徴のひとつです。

実装部をリジッド基板として、ケーブル部をFPCとするリジッド&フレキ基板ではなく、

現在は、実装部もポリイミド材を使った『オールポリイミド』で構成された多層FPCが

主流です。


現在は、貫通基板だけでなく、ビルドアップ構造の多層FPCを採用するメーカーも

増えてきており、より設計の自由度が高くなるのと、同時に、さらに高機能化、

小型軽量化が進んでおります。

FPC基板を採用したいが、どの構造がコストパフォーマンスに優れているか…

をお悩みのようでしたら、是非ともご相談下さい。

もっとも効率の良い構造を設計から提案させて頂きます。


次回はリジッド&フレキ基板についてお話ししようと考えております。