【基板工場の悩みどころ】中間検査のあり方について

 

 小さい頃に見ていたヒーローものは、敵と味方・善と悪がはっきりしていたのですが最近のヒーローものはそうでもないようです。敵だと思っていたものが味方だったり、はたまたその逆だったりと、その在り方も時代とともに変化している模様です。

 

 

 

 世の中、善と悪の2色に分けることができればこんなに楽なことはないのですが、残念ながらそんなに甘くはありません。片方から見ればいいことでも別の見方をすると悪いことだったりしますよね。あちらをたてればこちらがたたず、、、基板工場にもそんなトレードオフの関係になっているものがありますので本日はその紹介をしたいと思います。

 

 

 

 プリント基板の製造について不良を0にするというのは非常に困難です。ですから検査をして不良をはじくことによって納品物に不良が入らないような工程設計をします。検査にはさまざまなものがあるのですが、今回テーマにしたいのは中間検査です。名前の通り工程の途中で問題がないかを確認する検査です。レジストをかける前の工程で、レジスト後には見つけられないような不要を検査するケースが多いですね。どの工程で中間検査を行う顔言うのは採用している工法にもよります。中国では日本と違ってテンティング法を使用しないことが多いです。この場合、断線は難しいのですがショートについては手直しが出来てしまうこともあるので、日本とは中間検査の入れ方が違う工場も多いです。多層板であれば、内層を作成した後に積層してしまうと外観検査での不良発見は困難になります。ですから、内層として検査をすることも重要です。

 

 

 

 しかしながら一方で、中間検査にも難点があります。基板に起きてしまう不良の多くは、人的に基板を扱う工程で発生します。人が基板を手で扱うことを、「ハンドリング」や「基板の取り置き」なんて言い方をしてあえて区別するのは、基板工場における人の手の管理へのナイーブさへの象徴のように感じます。自動化を進めれば不良がなくなるというのはこういった背景があるわけです。ハンドリングとなる工程としては。運搬、梱包があり、検査も同じくそれが必要です。現状では、プリント基板の外観検査というのはAOIAVIといった設備を使うものの、検査員による人的な扱いをしなければなりません。ですから、不良をなくすための中間検査で実は不良を生み出してしまったというリスクもとうぜん考えなければならないわけです。

 

 

 

 中間検査の難しさはここにあります。不良をなくすために全数検査をしたいが、かえって不良を生んでしまうかもしれない、このトレードオフの関係をどう解釈するかが重要です。ハンドリング業務の標準化を進めることも重要ですが、人の手が絡めばリスクは確実に存在します。そこで、全数は検査せずにロットごとに抜き取り検査をするというのも一つの方法です。抜き取りというと不安もあるかもしれませんが、統計学というのは非常によくできていて、一定のサンプル数の評価で不良の流出リスクは相当に下げることが可能です。余談ですが、抜き取りの統計学を簡易に学ぶのであれば、「QC検定」や「統計検定」がおすすめです。どちらも考え方を学ぶだけであれば2級で十分です。統計検定は数学的な知識が必要ですが、QC検定は数学との戦いを最小限で品質管理の手法を学べるので文系事務系の方にもおすすめです。資格の話は別の記事でゆっくりしたいと思いますので、このくらいにしておきます。

 

 

 

 いずれにしても二律背反になる中間検査の善と悪、このコントロールは基板工場のまさにツボの一つです。大事なのはトータルで感がること。全体を最適化するために中間検査で何をどのようにチェックするかということをしっかりと作りこみ、必要な検査を最低限のリスクで実施する。基板工場運営の腕が問われるところです。